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『誤嚥性肺炎』という言葉を聞いたことがありますか? 高齢者のいるご家庭や介護の現場で働く人たちの間ではよく知られている言葉ですが、あまりなじみのない人も多いのではないでしょうか。
誤嚥による肺炎は日本人の死亡原因の第6位で全体の3.1%を占めています。高齢者の肺炎の半数以上を占めるといわれる誤嚥性肺炎ですが、じつはお口の中の環境が大きく関係しているのです。
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「ぱくっ、もぐもぐ、ごっくん」私たちが一日に何度となくくり返す、食べものや飲みものを飲み込む動作のことを『嚥下(えんげ)』といい、この動作がうまくできなくなってしまい、飲み込んだものが誤って気管や気管支内に入ることを『誤嚥』といいます。
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ふだん私たちが食事をするとき、「嚥下反射」によって食べものや飲みものは食道へ送られるようになっています。
たまに食事中むせたりしてしまうのは、誤って飲食物が気管に入ってしまいそうになるのを「咳反射」によって防いでいるためです。むせたりすると自分でもわかりますし、周囲の人も気づきます。
これを顕性誤嚥(けんせいごえん)といいます。しかし脳血管障害の影響や加齢によってこれらの反射機能が低下してしまい、知らず知らずのうちに呼吸と一緒に唾液が肺へと流れ込んでしまうことがあります。
睡眠中など自分でも気がつかないときに起こっていることが多く、家族や介護者など周囲も気づくことができません(不顕性誤嚥)。 -
身体機能や免疫力の低下によって、食事以外の睡眠中など気づかないうちに引き起こされる不顕性誤嚥。
とくに自分で歯をみがくことが難しかったり、胃ろうなどで口から食事をしないため自浄作用が低下して口腔内を清潔に保つことが難しい高齢者は、不顕性誤嚥による肺炎のリスクが高まります。また、不顕性誤嚥による肺炎は、咳や発熱などの症状も出ない場合が多く、寝たきりで意思の疎通が困難だったりすると、治療が遅れてしまい重症化を引き起こします。
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誤嚥性肺炎の原因となる細菌は口腔内に棲む嫌気性菌で、その多くが歯周病菌であることがわかっています。
歯周病菌は、いまや成人の8割が罹患者かその予備軍であるといわれるほどの口腔内疾患『歯周病』の原因菌です。若いうちから正しいブラッシングと定期的なメンテナンスで歯周病を予防していくことが大切です。
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*器質的口腔ケア
「口腔内を掃除して清潔に保つ」○口腔内の保湿ケア ○口腔粘膜の清掃 ○歯面・歯間のブラッシング ○舌の清掃 ○義歯の洗浄・保管 など。
ブラシやスポンジ、綿棒などの口腔ケアグッズを上手に使い分けて清掃します。
お口の汚れを取り除き清潔に保つことで、誤嚥性肺炎を引き起こす細菌の繁殖を防ぐことができます。(起き上がって座った姿勢で、自身で行うことが機能トレーニングにもなります。家族や周りの人に見守ってもらいながら、ご自身でできることはやってみましょう。)
*機能的口腔ケア
「口腔機能の回復、維持・向上を目的とする」○舌の体操 ○顔面体操(マッサージ) ○唾液腺マッサージ ○発声練習 ○呼吸の練習 など。
噛む、飲み込む、話す、笑うなどの口腔機能を維持できれば、自分の口からおいしく食事を摂ることや会話を楽しむことができます。
さらには筋肉や脳が刺激され、内臓の働きも活性化し免疫力も向上します。*専門的口腔ケア
「歯科医師・歯科衛生士の指導を受ける」○歯周病、う蝕、欠損などの歯科疾患についての医学的な指導・治療 ○義歯の不具合調整 など。
口腔機能の改善方法や維持管理など、専門的な指導を受けることで、誤嚥性肺炎の予防と再発しないためのよりよい生活環境を継続します。
八幡通り歯科マガジン 誤嚥性肺炎
on 2023年10月15日
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